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2022.12.15

コラム|戻りつつある熊本演劇界と高校演劇の活気(熊本)

はじめまして、梅山隆博と申します。熊本にてCONTE&ACT 噐というユニットでコントを作っております。本日、ご縁ございましてコラムを書かせていただきます。どうぞよしなに。

さて、私は高校演劇出身でございますが、ここ3年間の情勢下において演劇部も、他の部活動と同じく相当な苦労をしたという話を母校の師より伺いました。演劇部は声が出ますし、基本屋内ですし、人が大勢集まることも当たり前ですから、部活動が解禁されたあとも活動には相当の制限があったとのこと。何より、総合文化祭の中止や、高校演劇大会の無観客開催など、校外の方へ発信できる機会の減少、そして熊本県内外の演劇団体の公演が次々と「中止」「延期」となったことによる観劇できる機会の減少、この「演る」「観る」それぞれの機会の減少は、演劇部としての演劇の学習以上に他校や他の演劇団体さんとの交流ができなかったのは大きかったのではないでしょうか。

▲熊本市内の街の様子

私自身、当時足を運ばせていただきました様々な団体さんの公演でのご縁で、今でもお声掛けいただけますのは、大変ありがたいことでございます。また、観劇して「この演技素敵だな」「この効果どうやっているんだろう」「演劇って楽しい」という思いが沸き上がったものです。

そんな経験が難しい中、熊本県各高校演劇部の顧問方のお力添えもあり、県内外から演劇の講師をお呼びしての講習会やワークショップなどの学びや交流の場が設けられたり、最近では各演劇部の自主公演も行われたりと、演劇部の活気が情勢下前、もしくはそれ以上に戻りつつあるように感じます。

 

この情勢下に入り、たくさんの「延期」「中止」が溢れはじめた頃、アーカイブ配信や映像作品の公開、オンラインイベントなど、家でも楽しめる演劇が多くの演劇団体さんの手によって誕生致しました。演劇の火を絶やさぬよう努める方々の熱意に感銘を受けたものです。ここ1年は、「延期」「中止」も少なくなり、舞台での公演も増えて参りました。つい先日には熊本県立劇場にて、国民的マンガである“ONE PIECE(ワンピース)”×熊本の伝統芸能:人形浄瑠璃“清和文楽”のコラボ舞台『ONE PIECE 超馴鹿 船出冬桜(ちょっぱあふなでのふゆざくら)』が上演され、話題となりました。

▲熊本県立劇場

私自身も主宰ユニットの公演中止や映像作品の配信をいたしましたが、観客入れての舞台に立たせていただいたり、また客席から芝居を観劇させていただくと、「やはり、この臨場感は会場でしか味わうことができないな」と思うと同時に、あの頃と同じく「演劇って楽しい」とより強い思いを抱くのです。

梅山隆博(CONTE&ACT 噐 主宰/熊本)

2021.01.24

コラム|自粛を契機に、見つめ直す演劇活動と、これからのこと(熊本)

熊本市を中心に活動をしております、德冨敬隆と申します。大学入学を機に始めた演劇ですが、DOGANGという演劇団体を立ち上げ、今では熊本演劇人協議会の会長を務めることになりました。最近では演劇イベント「DENGEKI」を通じて、県外の方々とも知り合い、交流をもっています。そんなことになっているなんて、野球部だった高校時代の僕に言っても絶対信じないでしょうね。

「DENGEKI」が開催された会場、早川倉庫

さて、世界は今、新しい感染症、所謂新型コロナに翻弄されているわけですが、熊本演劇界へも多分に漏れず影響は大きく、すっかり様変わりしました。2020年に入り、公演は続々と中止となり、例年なら全てを観るのが難しいくらい毎週どこかで公演があっている9~12月の演劇シーズンもほとんどありませんでした。かくいう私の劇団も2020年3月に予定していた公演を中止しました。演劇を始めて10数年、毎年何かしらの舞台に立っていたのですが、初めて1度も舞台に立たずに1年が終わりました。

「ステイホーム」が推奨されて、家にいることが増え、家で観られる動画が重宝されています。そんな状況で演劇はどうするべきか。動画では映画やドラマに敵わないし、それらは家にいても観られるわけです。比べて演劇はわざわざ会場まで行かないと観れないし、台詞を噛んでも飛ばしてもやり直しのできない一発勝負ですし、予想外の事故があるかもしれない。あれ?別に今の状況じゃなく平時でも動画の方が便利ですね。なのになぜ演劇なのか。演劇人はなぜ舞台に立つのか、舞台に関わるとはどういうことかを見つめなおす機会でもあるのかもしれません。私も、時折映像作品の作成に関わることがありますが、「やっぱり舞台がいいなぁ」と思うことが多いわけです。私の場合は、やはり「生」の魅力に憑りつかれているわけです。

 

熊本市内 下通アーケード

しかし、熊本の演劇活動がすべて消えたわけではありません。熊本の老舗劇団の市民舞台さんは、元々予定していた公演をリーディング公演に変更し、尚且つ役者をボックスで囲むことで役者・観客ともに感染リスクを減らす工夫をされていました。くまもと演タメ学園生徒会さんはYouTubeを活用していろいろな企画を配信されています。その他の劇団も、感染が終息することを期待して2021年に公演を計画しているところがたくさんあります。僕のところもその一つです。熊本の演劇界は決して光を失ったわけではないのです。

研究が進んだことで最近ようやく「このような対策を取れば感染リスクが抑えられる」というのがわかってきました。終息を待つより、どうすればこの状況で演劇公演をやれるのかを模索していくことも必要でしょう。また、ワクチンの開発・接種も進んできています。終息にはもう少し時間がかかるでしょうが、そのうち何の制約も憂いもなく公演ができる日がきっと来ます。その日まで、力を蓄え準備をしておくのもいいかもしれません。脚本を書き貯めたり、演技の幅を広げたり、新しい演出方法を考えたり、やれることはたくさんあります。
ちなみに、スペイン風邪が流行った頃の映像を見ると、人々はマスクを量産し、「人と人との接触は避けましょう」と、ハグや握手をせずに挨拶するように啓蒙しています。100年前と今もさほど変わりませんね。さらにいうと、その後世界恐慌が起きています。要因は違えど、現在も経済は圧迫されており、芸術分野は必要ないと言われることも少なくありません。芸術が無くても生きてはいけます。でも、芸術がなければ豊かな人生にはなりません。人は生きるだけではなく、芸術を楽しめるから人なのです。熊本が、九州が、日本中が、世界中が芸術分野を大事にしてくれることを願います。

德冨敬隆(熊本演劇人協議会 会長、劇団DO GANG)

2019.08.30

コラム|変わるもの、変わらないもの、ワクワクの日々。(熊本)

どうも。熊本にある劇団「Acting Unitシチミトウガラシ」代表で、くまもと演劇バトル”DENGEKI”実行委員の古田翔太郎です。
はじめまして、の方も多いかもしれません。私自身は高校~大学時代に活発な活動をしていましたが、就職して7年。就職してからはなかなか、というところです。


さて、地震から3年経った熊本。私なりに熊本の演劇を見ていて、地震を契機に変わってきたもの、変わらず続いているものがあるのではないかな、と感じている。

変わってきたもの。
新たな劇団やグループ・ユニットが誕生したり、今まで休止されていた団体が久々に公演をされたり、さらに賑やかになってきているように感じた。私自身あまり公演を観に行けていないため、詳しい様子をうかがい知ることはできていないが、公演の告知を聴く度に心がワクワクしている。
また、地震の後に被災地を中心とした演劇の団体設立やプロジェクトも行われている。仮設住宅等を訪問されたり、子どもたちが劇場で公演を行ったりする様子を見て、少しずつではあるが、演劇のもつ強みも感じることができた。
私が演劇に関わるようになってから、少しずつ劇団の公演が劇場での開催からアトリエやギャラリーなどで行われるようになっていたが、地震の後からその傾向は一層強くなってきたように感じる。最近では、Barやスナックで公演をされる団体もある。自前の劇場で同じ演目をロングラン公演するなど精力的に活動している団体もあるようだ。
さらに、熊本の演劇界を束ねる熊本演劇人協議会も昨年度、役員が変わり、会員の団体・個人も23組になった。特に、熊本演劇人協議会の会長は、私と同世代であるDO GANGの徳冨敬隆さんになられた。同世代が会を束ねる会長になられたことで、私も勝手にワクワクし、「がんばらなくては!」と感じている。

そして、変わらないもの。
先述の熊本演劇人協議会も役員こそ変わったが、今まで通り盛んに活動も行っている。6月29日(土)には「100人稽古!2019」と題し、協議会メンバーが講師となってストレッチや基礎練習、インプロや殺陣など様々な講座が開かれた。そして、終了後には、参加者が中心となり、毎年行っている懇親会も行った。劇団・個人や演劇に興味のある人が参加し、舞台の深い裏話や他愛もない話など、たいへん盛り上がった。


※「100人稽古!」の様子

熊本演劇人協議会は、こうやっていつでもワクワクすることをやっている。このあったかい雰囲気、ワクワク感が、長くたくさんでできる秘訣なのかもしれない。
それから、私も毎年関わっている「くまもと演劇バトル”DENGEKI”」。2012年に1回目をスタートさせ、翌年から全国各地の劇団に参加していただいている。過去には茨城県から参戦していただいた団体もあった。今年で8回目。今年は熊本、福岡、宮崎、鹿児島から10の団体が参戦している。
熊本地震を経てもなお、会場である早川倉庫や熱を持って参戦される団体のおかげで、毎年続けることができている。
今年の開催は9月22日(日)、23日(月・祝)。今年も盛り上がりそうでワクワクしている。


※「くまもと演劇バトル”DENGEKI”」昨年度の様子

演劇に関わりだしてから、様々な人のあたたかみに触れ、迷惑をかけ続けながら、たくさんの「ワクワク」に出会わせてもらった。時に申し訳ないこともしてしまったが、何とかやらせていただいているこの状況に感謝している。
地震を契機に変わってきたもの、変わらないものはあるが、私はどの話題をもってしても「ワクワク」を感じる。これが、私が演劇に関わり続けたいと思う由縁だろう。
この「ワクワク」をもって、これからも演劇に関わり続けたい。

そして最後に、公演やりたいなー。というか、やろう!


Acting Unitシチミトウガラシ 代表
くまもと演劇バトル”DENGEKI” 実行委員
古田 翔太郎

2016.06.30

コラム|がんばるけん!熊本演劇(熊本)

熊本を拠点とする劇団ゼロソーの俳優、またSulcambas! 代表として舞台制作に携わっています松岡優子です。

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平成28年熊本地震発生から2ヶ月半。この地震は熊本に様々な変化をもたらすとともに、熊本の演劇の活力を再認識させられたこととなった。

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(写真 花習舎近く健軍商店街の中の倒壊したスーパー)

女優、演出家、劇作家の渡辺えりさんが来られたのは、6月26日のこと。アトリエ花習舎には急な呼びかけにも関わらず20名を超える演劇人。えりさんは3時間を超える長い時間、深い懐でひたすら私たちの生活環境や演劇活動ができているのかどうかといった話に耳を傾けてくださった。それぞれに連絡を取り合い近況を聞いていた人もいたものの、そこでの話からみんなの体験(苦労)は一様ではないと痛感させられた。

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(写真 本震後のアトリエ花習舎)

益城町に住む劇団「石」の女優さんは、罹災証明の判定に不服を感じつつも2次審査を申請することができなかったやるせなさに声を震わせていた。
劇団「石」は代表の堀田清さんをはじめ益城在住の方が多く、今まで使っていた稽古場は避難所となっているため利用不可能、堀田さんは罹災証明発行のための現地案内で東奔西走、劇団員の西山広成さんはこの4月からミナテラス(益城町交流情報センター)の所長となっており本震後4、5日は我が家に帰ることも眠ることもできない程に避難所運営に追われた。
劇団夢桟敷さんは地震被害により事務所兼代表 山南純平さんのご自宅の引っ越しを余儀なくされた。

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(写真:渡辺えりさんを囲んで)

えりさんを囲んだ会に本番のため出席できなかった劇団「第七インターチェンジ」の代表 亀井純太郎くんの自宅兼劇団稽古場は傾いてしまって、亀井くんは他の場所に身を寄せていると聞く。
またゼロソー代表の河野ミチユキは、勤める熊本市男女共同参画センターはあもにいも例に漏れず避難所となっているため避難者対応やはあもにいに届く物資を近隣避難所へ運んでいた。
劇団きららは地震の時、東京公演真っ最中。命が脅かされた瞬間に劇団きららが熊本にいなかったことは、全ての人の無事を確認することができない状況下において私にとっては「この人たちは無事だ」と絶対的な事実としての精神的な拠り所、救いだった気がする。しかし、遠く東京から熊本を思うことしか出来なかった皆さんの心情はいかばかりだったろうか。

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(写真 益城町文化会館周辺)

LINE、メール、電話、Twitter、Facebook、あらゆる方法でみんなの無事を確認しあっていた中、突然、熊本の演劇人が集まることになる。劇団「市民舞台」代表をされていた五島和幸さんの急逝によって。

通夜、葬儀には熊本の演劇関係者が多数参列し、他にもバレエ、能楽、オペラ、熊本のありとあらゆる芸術家、技術スタッフが五島さんの早すぎる死を惜しんだ。「これからだったのに…」と異口同音に皆が口を揃えていた。五島さんに熊本の演劇界はどれだけ支えられてきたことか…。

お通夜は前震の10日後、余震の続く緊張状態だっただけに久しぶりに仲間との再会に変な話だけれどもホッとする感情も生まれた。仲間達の無事な姿に緊張が緩んでいくのを感じながら、「五島さんが私たちを集めてくれたんだね」と声をかけあった。「だからって先立つには早すぎるでしょう!」と五島さんの不在が悔やまれてならなかった。地震がなければ…そう思わずにはいられなかった。

熊本に未曾有の被害をもたらした地震との闘いはなおも続いている。被害の大きかった益城町、南阿蘇を中心にまだ復興への道のりは遠く険しい。私自身、住む家をなくした。けれども、熊本の演劇人はとどまることを知らない。

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(写真:余震の影響で天井が落ちた健軍文化ホール)

劇団「石」を中心とした毎年恒例の夏目漱石を題材とした演劇の熊本・東京公演は、一時は中止と聞いていたけれど、熊本市民会館から熊本県立劇場へ会場を移しての公演決定。劇団夢桟敷を中心とした演劇ユニット九州「劇」派は熊本・東京公演、そして夢桟敷はその先にはブラジル公演も見据え、その歩みを止めることはない。益城町にお住まいの小松野希海さんはご自身も大変な状況であるにも関わらず、Studio in.K.でいち早くゴールデンウィークから公演を実施。くまもと若手演劇バトル「DENGEKI」も例年どおり10月に開催決定。

目の前の生活で手一杯になってもおかしくない状況下で、立ち向かう、切り開く姿に熊本の底力を感じずにはいられない。

多くの方の支えを受け、私は熊本の演劇人有志とともにアートによる街や人の再生・復興に寄与することを目的とした団体、SASHIYORI Art Revival Connection KUMAMOTO(SARCK/通称 さるくっく)を地震の一ヶ月後に設立した。またアトリエ花習舎では、急遽、月光亭落語会の投げ銭寄席、若林美保さん・大槻オサムさん・谷本仰さんの作品「two」を上演していただけることに。「とにかく熊本へ」その気持ちがとても嬉しく本番の日が待ち遠しい。

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(写真:広安西小学校で子どもたちと遊ぶSARCK)

Sulcambas!主催で昨年秋に開催した「カシューナッツ 12帖演劇祭」は助成いただいた熊本県の助成金の募集目処が立っていないため今秋開催に向けクラウドファンディングに挑戦中だ。こんな今だからこそ、やりたい。熊本でひとつでも多くの笑顔が生みだしていきたいと願っている。クラウドファンディングには花習舎3日間提供というリターンもあり、作品を持ってくることでもぜひ熊本を盛り上げてほしい。

地震後、九州、全国から励ましの言葉やご支援をいただき、どんなに言葉を尽くしても感謝の気持ちを表現できない。心寄せてくださる皆さんの思いは確実に熊本の演劇人の原動力となっている。だから、声高に叫ぶ。「がんばるけん!熊本演劇」

ゼロソー 俳優/Sulcambas! 代表/SARCK 代表

松岡優子

2015.11.30

コラム|演劇をしたい人が、演劇をできる環境をととのえるために(熊本)

熊本学生演劇連盟の馬渡と申します。熊本大学の4年生です。普段は劇団「市民舞台」で活動しております。

私は、熊本の学生の演劇へのかかわりについて、また一学生からみた熊本の演劇に関してお話いたします。

熊本に限らず学生が演劇をする場合、大きな選択肢は二つだと思います。一つは、大学演劇部に所属し活動する、もう一つは自力で劇団を探し、自分で入り活動する。普通は大学演劇部に入ろうとする学生が多いのでしょうが、熊本では全く演劇経験がないのに劇団に入る学生が結構います。その大きな理由は、熊本の大学演劇部は、現在熊本大学と東海大学阿蘇キャンパスの二つしかないからです。東海大学阿蘇キャンパスは地理的に離れており(東海大学熊本キャンパスとも行き来がないほどに)、熊本県内ほとんどの大学がある熊本市内となると、熊本大学にしか演劇部がありません。熊本市内から学生が集まるので、熊本大学演劇部には他大学の学生も所属しています。熊本大学演劇部は熊本演劇人協議会に加盟しており、部活と言うより演劇団体として認知されている側面が強いように思います。

この2つの演劇部を見れば熊本のいわゆる学生演劇というものは網羅できます。合わせて20人程度、劇団に所属している学生も含めれば30人強だと思います。しかし、学生は熊本にたくさんいて、その中で演劇活動をしている学生がこれだけしかいないのは少ないとぼんやり思っていました。そうしたら、演劇部の大先輩から、学生が所属するための演劇の団体を立ち上げたらいいんだよ!と言われました。部活のたびに熊本大学まで通うのは面倒だし、劇団にいくのはちょっと怖い、そう思っているうちに演劇しなくてもいいや、と思う学生がたくさんいるはずだ。

なるほどと思い、熊本大学の演劇部の学生たちと一緒に、「熊本学生演劇連盟」という学生のための演劇団体を立ち上げました。団体の目的は、「演劇をやりたい学生それぞれの周りに、演劇に参加できる環境をととのえること」。具体的には、各大学に活動している演劇部がある状態を目指しています。また、大学の垣根をこえた交流の場を作って演劇仲間を増やし、同時に劇団への架け橋にもなれればと思っています。とにかく、それぞれがやりたいように活動するための団体です。高校演劇経験者のツテなどをたどりながら、演劇に関わっている人、演劇に興味がありそうな人に声をかけていきました。

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(合宿での一コマ)

熊本学生演劇連盟は、劇団ではありません。団体主催での公演は少なく、行うとしても有志を募っています。一度、4大学を回って新歓公演を行いました。有志で公演を行うメンバーを募り、各大学の学生に声をかけ、制作のお手伝いを頼みました。これは半分成功、半分失敗というところで、課外活動に熱心でない大学ではチラシ配りなどが難しく、アプローチの難しさを感じました。また、福岡学生演劇祭への出場の際、学生ユニットとして熊本学生演劇連盟の名前で出場しました。最近の連盟のおもな活動は、有志によるワークショップの企画と、情報交換です。最近では殺陣講座が週に一度行われており、プロの方を講師にお招きして、学生たちが殺陣を学んでいます。また、年に一度、合同合宿を行っています。この合宿はまだ2回しか行われていませんが、20人近くが参加し稽古を通じて交流をはかっています。今年度は劇団から社会人の演劇人をお招きし、合宿内でワークショップのようなものも行いました。この合宿で、しばらく途切れていた東海大学阿蘇キャンパスと熊本大学演劇部の交流が復活しました。

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(合宿での一コマ)

課題はたくさんあります。まず、情報を発信する人、イベント・ワークショップなどに参加する人に団体内で偏りがあること。また、団体外部への情報発信ツールが現在ツイッターのみであること。そして、一番大きな課題が、連盟を維持しようと思う後輩が現れずに、団体の機能が縮小してしまうことです。

今のところは、この団体を自分の挑戦したいことや、情報交換に利用している学生がおり、ワークショップには毎回学生が必ず来ています。しばらく途切れていた2つの演劇部同士の交流が、合宿初回以来の1年半は頻繁に行われるようになりました。演劇部が、定期的な活動はまだ出来ていないものの、二つ立ち上がりました。また外部の方から、学生がたくさん集まっているところとして、学生への紹介の案内などが来るようにもなりました。少しずつ状況は変わっているのかも知れません。

(劇団「市民舞台」、熊本学生演劇連盟・馬渡直実)

2014.03.31

コラム|日本劇作家協会九州支部設立への一歩(熊本)

日本劇作家協会九州支部を作る。そんな話が現実化してきました。
初めましてこんにちは!ご無沙汰しております!熊本のゼロソーの俳優、また舞台制作を手がけておりますSulcambas!の松岡優子です。
こんな九州支部設立の話があがったのは先日、2月15日に長崎で開催された九州演劇人サミットでのこと。
長崎サミットは、ホストを務めたF’s Companyの福田修志さんからの提案で、従来サミットの後に開催されてきたざっくばらんな座談を目的とした交流会をメインにしたものとなりました。

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前回までと比較すれば参加者は減りましたが、その分、お酒の席の雰囲気も手伝って乾杯と同時に各所では遠慮ないトークが炸裂。それぞれの地域の現状を語り、互いに相談し…いつもに増して、より突っ込んだ現実的な現場の話が繰り広げられたように思います。それはもちろん悲観的ということではなくですね。

冒頭で書いた「日本劇作家協会九州支部を作る」という話は以前からありました。
いよいよ九州支部が動き始める、長崎サミットではそんな話と並行して「どこか話に乗ってくれる公共劇場はないだろうか」そんな話題が出ました。
もう5年以上前のこと、F’s Companyやゼロソーの東京国際芸術祭リージョナルシアター・シリーズへの参加をうけて、朝日新聞に「公共劇場 育む 小劇場劇団」といった見出しで取り上げていただいたことを記憶しています。確かにフーズやゼロソーに限らず私たちは少なからず公共劇場に育まれてきた側面があります。直接的な支援ということだけでなく、自劇団の作品の上演の機会をもらい、また自劇団以外でも多くの舞台に関わらせていただく機会ももらいました。もちろんワークショップへの参加、アウトリーチでの地域演劇人の活用もそうですね。
ただ、今回の日本劇作家協会九州支部を作るにおいてもっとも重要 なことの
ひとつは「九州の劇作家の顔が見える」ということだろうと思っています。支部設立は「九州には誰それさんがいて、こんな作品を創っている(創っているらしい)」そんな九州の劇作家の存在を知ってもらうきっかけになりうるでしょう。九州の劇作家さんたちには独自性を備えた展開を期待し、そこにこそ支部設立の衝動的動機がほしい。前面に立つのはあくまで劇作家で、それに賛同してくれる人たちー公共劇場に限らずーを巻き込んでいけばいい。
この日本劇作家協会九州支部設立については同じく2月に行われた宮崎県立芸術劇場主催の演劇・時空の旅シリーズ「シラノ・ド・ベルジュラク」福岡公演のアフタートークでもこふく劇場 永山智行さん、飛ぶ劇場 泊篤志さんによって公言されたとのこと。
劇作家協会未加入の九州の劇作家さんたち。
劇作家協会に入ればもちろん九州支部の活動にも参加できます。
これをまた契機に九州の演劇が活発になることを願って、サミットで「がんばってくれる人」として声をかけていただいた私も何かしらのお手伝いができたらと思っています。

ゼロソー 松岡優子

2013.04.24

コラム|熊本、劇団をはじめることと、その在り方

ゼロソー代表河野氏は大学の先輩である。その河野氏と、十数年前に劇団を作った事がある。名を「姉グロ」といった。ゼロソーやら、第七インターチェンジやらが旗揚げする数年前の話だ。別に解散したという事もないが、取り立てて活動したわけでもなく(劇団の会報の様な物を何号か配布しただけ)うやむやになったままだ。方針で揉めたという記憶もない。そもそも方針を話し合った記憶がない。会議自体は何度かやったと思うが、何ひとつ進展しなかった。

当時の我々にとって、劇団を作るということは、大変な勇気を必要とする物だった。「戯曲を書く」とか「演出する」とか「舞台に立つ」ということ自体が、ものすごいハードルの高い事だったとおもう。ワークショップ的な物が熊本で開催されるようになったのは2000年代に入ってからだし、戯曲講座とか、演劇大学のようなイベントもなかった。

IMG_0098転機になったのは、2005年の「日本劇作家大会in熊本」である。熊本の場合だと、劇作家大会以前と以後では、別の地域だと言えるくらい、それをきっかけに状況が一変した。

現在は、毎年なんらかの劇団なりユニットなりが出来ているようだ。当時と比べると、「演劇をしてみる」ことへのハードルは、相当低くなった。2012年10月には、「DENGEKI」という、若手劇団六団体によるコンテストが自主開催された。六団体だ。かつてのペースであれば、20年ぐらいかかっていたはずのものが、1、2年でできてしまうのだから大変だ。

しかしこれが活況だと一口に言えないのが、難しいところだ。熊本で演劇をやっている人の数自体は、全体では横ばいである。昔からある劇団も含めて、かつては一団体15人くらいが平均的な数だったが、今では二桁の人数を抱える劇団はほとんどなくなってしまっており、特に最近出来る劇団は、二人とか三人しかいない場合も多い。

もっともその結果、「劇団の垣根を越えた交流」というものは非常に活発になっている。これまでは、公的な機関のお膳立てのもと一堂に会して、といった形が多かったが、最近は、自分たち独自のネットワークを元に、一から立ち上げるような企画も増えている。かつての劇作家大会のような、大規模なイベントによって一気に何かが変わるようなことは、今後は起こらないかもしれない。しかし、少しずつだが、着実に変化は起きていると思う。

第七インターチェンジ 亀井純太郎

2012.04.30

コラム|産声を上げた地から新たにスタート、九州を一巡した演劇人サミット

「サミット」ってよく耳にする言葉ですけど、そして何となく「首脳会議」のことだと思い込んで使っていたんですけど、改めて調べてみると「山頂」っていう意味なんですね。各国の首脳陣を山頂に準えて、ということだったのか。

2005年に熊本で開催された日本劇作家大会のイベントのひとつとして「九州演劇人サミット」は産声を上げました。九州各地域の演劇人や、九州出身の劇作家・演出家の方々が一堂に会して、それぞれの地域の演劇事情について話したり、地方ならではの、いままさに直面している問題について討議をし、中央で活動する先人の意見をうかがったりしました。「各地の演劇人が一カ所に集う」という、この単純明快・いたってシンプルなイベントが生み出した熱量は、想像をはるかに上回る盛り上がりと手応えを感じたことを思い出します。そして第2回サミットの福岡開催の話へトントン拍子に運んだように記憶しています。

九州演劇人サミットin熊本 募集チラシその後、第3回・長崎、第4回・宮崎、第5回・佐賀、第6回・鹿児島、第7回・大分…と一巡り。開催地域によって、さまざまな関連事業も行われました。演劇ワークショップ、ワークショップ参加者やパネリストによる出し物など毎回趣向を凝らした内容で、大いに賑わいました。と同時に、そのそれぞれのイベントから各県の演劇シーンの動向なども垣間見えて、とても興味深いのです。この県はこんなタイプの演劇が今主流なんだなぁとか、独自の地域性だったりとか、「へぇ!そうなんですか!?」と驚くこともしばしばです。

サミットの後は、交流会もあります。パネリスト、地元演劇関係者、参加者(ワークショップ参加者、観客も含みます)でごった返す交流会は壮観。新しい出会いあり、サミットでは語られなかった裏情報?やさらに突っ込んだ議論が展開されることあり!尽きない演劇トークの応酬の中、夜は更けていくのです。

九州を一周したサミットは、前回の第8回で福岡に舞い戻り、次回はサミットの生まれた場所熊本に帰ってきます。一周して見えてきた九州の演劇シーン。今度の熊本サミットでは、「地域演劇人」の立場から「表現者視点からの地域演劇観」に少し深く突っ込んでいけたらと考えています。県を跨いだ合同公演や年代別の地域演劇論をテーマに、5人のパネリストと熊本の若手演劇人の間で熱いトークが繰り広げられることを今から楽しみにしています!

九州にもたくさんの演劇人という名の「山頂」が居て、それがこのサミットを通して繋がり「山脈」を成して行く。そんな九州演劇山脈を、九州圏内だけでなく全国から観に来てもらえるような、面白いイベントになっていけばいいですね!

文:河野ミチユキ(九州演劇人サミットin熊本コーディネーター)|熊本演劇人協議会

九州演劇人サミットin熊本

2012.04.05

九州演劇人サミット in 熊本開催(2012.6.2)

九州演劇人サミット in 熊本
ぐるっと九州まわって生まれた場所に帰ってきました

【パネリスト】
高野桂子(village80%・福岡)
福田修志(F’s Company・長崎)
亀井純太郎(第七インターチェンジ・熊本)
神水流じん子(劇団25馬力・宮崎)
島田佳代(演劇集団非常口・鹿児島)

【コーディネーター】河野ミチユキ(ゼロソー・熊本)

日本劇作家大会2005熊本大会から始まった九州演劇人サミット。
九州各県で活躍する演劇人が集まり、各地域の演劇を取り巻く環境、
それぞれの活動や展望を語るサミットが今年、熊本に帰ってきます!

サミットが始まった当時から環境は刻々と変化を遂げ、九州内の地域演劇人の交流はより深まり、
県を超えた合同公演、他地域での公演も増えています。
だからこそ、あえて言ってみる。「私たちは果たして手をつないでよかったのか!?」。
7年前の初サミット時はまだ知り合っていなかった「若手?演劇人」が、
今ここから見える展望を、それぞれの視点で語りたいと思っています。

【日時】2012年6月2日(土)16:00(開場は20分前)
※サミット終了後には交流会(要事前申込)も開催します。
【会場】スタジオ山脈(やまなみ) (西辛島町電停すぐ)
【参加費】1,000円 ※交流会参加費は別途3,000円(場所未定)
【参加定員】 50名(先着受付)

(詳細)
九州演劇人サミット in 熊本
http://summit.kyogikai.net/