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2021.05.25

コラム|演劇活動の再開を祈って(鹿児島)

 はじめまして。鹿児島市を中心に活動をしています。演劇集団宇宙水槽の宮田晃志と申します。鹿児島で社会人劇団を立ち上げたのが2012年! 10周年目はもう目の前です。また、昨年度から鹿児島演劇協議会の代表理事を務めていますが…。去年はコロナの演劇協議会の活動ができなかったので、今年こそはと、少しづつ計画を進めている段階です。
 また感染者数が増えてしまっていますが、ワクチン摂取も始まり、これからの演劇の活動が少しずつでも元に戻っていけるように、力を入れていきたいところです。
 今年一年を振り返ってみると、鹿児島での演劇公演回数は本当に少なくなっています。
 鹿児島演劇協議会に加盟している団体を見ると、いつもはどの団体も年1,2本公演を打っているのですが、全体で数えるほどしか公演を打てませんでした。
 コロナ対策のため、席数を減らす、フェイスガードやフェイスシールドを着用する、屋外で公演をするなど、対策は取っていますが、何が正解なのか探りながら動いているという感じです。
 劇団の宇宙水槽としては2020年の11月12月に即興公演と銘打って「死んだ勇者と愉快な友人」というお芝居を作りました。それはこのコロナ禍でもできるお芝居を作ろと思いついた企画でした。少しでも熱が出たら、1週間2週間様子を見て休まないといけないという今までにない状況下でしたので、突然役者が休んだり、本番来れなくなると言うリスクを軽減するために、役者を誰でも大丈夫なように即興公演と銘打ったわけです。また大きな会場はとれなかったので25人程度の小さな会場で、上演回数を増やしての公演というのも即興公演に合っていたかと思います。

「死んだ勇者と愉快な友人」マウスシールドやフェイスシールド、コロナ対策を行った即興公演。

 その時は鹿児島の演劇が全てできなくなっている状態でしたので、私たちの劇団が魁となるつもりで、コロナ対策のフォーマットや、手本となるようにこれでもかと対策をとって迎えた本場となりました。どうにかどうにかお芝居を打つことができましたが、いつもよりお客も少なく、対策のために時間と人手とお金を使い。精神的に大変な公演でした。
 2021年になり、少しずつ公演が戻ってきている感じはあります。
 2021年3月には鹿児島の即興グループ「七味唐辛子」が、鹿児島の劇団メンバーを集め、80分ほどの即興公演に挑戦したり、(私も参加しました。)
 久しぶりの舞台芝居、客席は半分しか埋まっていませんでしたが、私たち求めていた舞台がそこにありました。

「完全即興芝居CONTACT41〜りんく〜」照明音響全てが即興で一つの物語を作ります。久しぶりの舞台上。

 やっぱりお芝居に新しい様式はありません。
 生の役者に生のお客さん、観られているという感覚と観ているという関係。
 それが、あるから役者は舞台に立つし、お客さんは舞台に足を運ぶのです。
 さて、個人的な話になりますが、自分は「鹿児島市の春の新人賞」という賞をいただきました。

鹿児島春の新人賞

 これは鹿児島市を中心に活動している若手の芸術家に贈られる賞で、毎年、楽器、声楽、バレエ、日本舞踊などなど、多方の芸術分野から3人ほど選ばれるものです。
 鹿児島で演劇関係者がこの新人賞をとったの実に44年ぶりとのことで紹介されました。
 44年間……いかに鹿児島で演劇が注目されていないかがわかります。そう、鹿児島は他の九州の県に比べても演劇の知名度が低く、盛んではありません。この十年間鹿児島でお芝居をしているのですが、10年前と演劇の知名度、公演数などは変わっていません。むしろ団体数は少し減っているぐらいです。
 個人的にも鹿児島の演劇をもっと身近に、もっと手軽にと思って活動をしているところですが。そんな中この名誉ある賞をいただき少しでも、鹿児島の演劇を発信していければと思っています。
 鹿児島では2023年に全国高等学校総合文化祭も予定しており、各高校の先生方や生徒たちが準備を進めていると聞いています。
 去年はとんでもなく厳しい1年でしたが、次なる演劇活動の再開に向けて動いていきましょう。
 いずれ、私たちが求めてた、焦がれていた、あの舞台をまた公演できるように、今年も活動をしていきたいと思います。

宮田晃志(演劇集団宇宙水槽 代表)