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2012.12.31

コラム|福岡にいること、東京にいないこと、アンテナ。

こんにちは。2012年もまもなく終わります
福岡で活動中の劇団、万能グローブ ガラパゴスダイナモスの作・演出、川口です。僕が福岡で演劇を始めたのは、高校卒業後、高校演劇部の知人達で劇団(ガラパとは別の劇団です)を旗揚げした時からですから、もう10年近く前になります。って書いてびっくりしました。もう10年!まさかそんなにも演劇を傍らに置いた生活を続けるだなんて、当時の僕はこれっぽっちも思っていませんでした。

天神の様子

その頃から今現在までをざっくりと振り返ってみるに、福岡の演劇事情に色々な変化があったのだなあと思います。例を挙げだすときりがないのでいくつかピックアップして書きますが、最も大きな違いとして感じるのはやはり、他都市、特に東京の演劇との交流が格段に増えた、という点ではないでしょうか。

演劇に携わる人口が、圧倒的に多い関東地方や関西地方、そこで注目されている劇団やユニット、俳優や演出家が福岡に訪れ、我々福岡の俳優や演出と交流をする。ワークショップであったり、共に作品を作ったり、ドラマドクターという形で創作に深く関わりあったり、こういった密な関係は10年前ではまず考えられなかったことのように思います。

また、直接的な交流はなくとも、インターネットを通じて自分が気になる劇団や演出家、作家の情報は一昔前と比べると遥かに容易に手に入れられるようになりました。継続性のある劇団の大半は、自作をDVD化して販売しておりネットでの購入も容易いです。(一昔前であれば、限られた一部の人気劇団の公演がスカパーなんかで放送されるのを必死に録画していたものです。)また、実際にその作品を見た観客のレビューや、劇団側がyoutubeやユーストリームで作品を配信したりということも、もはや珍しいことではなくなりました。さらにいえば、ブログやツイッター等で、そういった作家や俳優の、創作の根源になっているであろう日々の思考などに触れることもなんら難しい事ではありません。
もはや「気軽に手に入れられる」といったレベルでなく「溢れている」あるいは「氾濫している」といっても差し支えない状況でしょう。(勿論これは、演劇というジャンルに限ったことではないですが。)

僕自身、そういった交流や情報の中で得た知識や技術が、今の自分の演劇活動に多大な影響を与えているのは間違いありません。10年前では、たくさんの時間とお金を使わなければ手に入れられなかったものが、少し手を伸ばせば当時よりも遥かに容易に手に入れられる。凄い時代になったものです。

福岡は国内でも有数の都市であり、その「情報の波」によくもわるくも、とりわけ敏感にならざるを得ない土地だったのだと思います。

しかし、そんな時代だからこそ情報を精査する力がより求められるのだとも感じます。中央から洪水のように押し寄せる大量の情報に、敏感にアンテナをはりつづけることと、そしてその中から何を選り抜き、何を捨てるのか。そのセンスが要求されているのだなと感じることが多々あります。そのセンスが、今一番求められているのかもしれません。

そういえば、東京の知人から「東京にはなんでもある。情報も多い。でも、流れが速すぎて疲れてしまう。」という類いの話をよく聞きます。そういう意味では、このボーダレスな時代、「福岡」という土地のアドバンテージはそこにあるのかもしれません。必要なとこだけ上手にすくいあげて、あとはじっくり腰を据え自分のペースで創作を続ける。そんなオイシイとこどりができれば、一番いいよね、なんと思います。

劇場の話など他にも書きたい事はたくさんありますが、あまり長くなってもアレですのでそろそろここらで。
2013年、福岡の、そして九州の演劇にとって良い年になりますように。

万能グローブ ガラパゴスダイナモス
川口大樹