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2018.06.01

コラム|宮崎、いま、演劇(宮崎)

はじめまして。
宮崎県宮崎市を拠点に活動している劇団歩く窓と、FLAGの代表の伊藤海(31)です。
宮崎の演劇の状況、2018年、いまのところをお伝えしたいと思います。

宮崎にある演劇の団体は、活動の濃淡はありますが、およそ40団体、今あるようです。
大体週ごと、多い時には同日に3〜4つの公演が行われているような状況です。
特に、高校生〜20代前半の若い世代が増えた印象です。
宮崎県立芸術劇場が主催する「アートな学び舎」や「トライアル・シアター」、三股町立文化会館が主催する「まちドラ!」をはじめとした、劇場が開く市民参加企画は、それら若い世代ばかりでなく大人まで、質の高い演劇に直接関わるきっかけの場になっています。
そしてそこでの出会いが、他団体に出演し合ったり、研磨し合ったりしながら新しい作品を生み出しています。
FLAGのここ最近の作品もまた、そうして出会った人たちに支えられてきました。

とは言え、相変わらず、と言うのも何ですが、男性が少ない。
参加する、に留まる人も多いです。
ある年齢を迎えて、ああ、最近見ないな…って人も増えてきました。
人もどんどん余所へ出て行きます。
ずいぶん昔の、宮崎の歴史を伝える資料にも同じ事が書かれていました。
いちばん必要なものは、それぞれその時々で変わるもの。
どこでやるにもそうなんだろうなって思ってしまいます。
そういった土地土地の気風の中で作品を生み出していくことは、人により向き不向きがあるかも知れません。

みんな、この宮崎という場所でそれぞれに、やりがいや、こだわりや、分かち合いたいものを懸命に生み出そうとしています。できるなら遠くの人まで届くようにと。
つい先日、劇団こふく劇場が、三股町などでの活動を評価され、地域づくり顕彰大賞を受賞されました。
現に今この文章を綴っている今、私はその渦中であるところの「まちドラ!」で町民との作品づくりのため、三股に来ています。
これら先達の作ってきた流れと、大きな壁と、向き合いながら、日々を過ごしていきます。

それが終われば、すぐに宮崎県立芸術劇場で「三文オペラ」の稽古が始まります。
そして、演出・永山氏の言葉を読者の皆様にもお伝えしますが、必ず、もう一度、生まれるでしょう。
私は今回、出演となりますが、とてもこの公演を代表して何かを言う立場にはないかもしれません。
ですが、一度は生まれて来られなかった悲しみも、作品の完成にかけた時間や情熱も、作品の観劇を楽しみにされていた方々への多大なご迷惑も、なかったことにはしません。ふたたびの最後までを、信じて作っていきます。
この上演にかかる、制作の方々の努力も今なお続いています。
みんな演劇のもつ力を信じています。

何度でも言い続けます。
どうかまた、宮崎でお会いしましょう。

           劇団歩く窓代表・FLAG代表 
           伊藤海

撮影:T.Saita